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今日車でi-podをシャッフルにして聴いてると、ジューダスプリーストのペインキラーが流れてきた。


ふと、由宇さんのことを思い出した・・・。





東京にいた頃、パチンコ屋のバイトをしていた時期があった。


そのパチンコ屋の従業員で、由宇さんという男の人がいた。

由宇さん（ゆうさん）は苗字で、沖縄から出てきた俺は初め名前かと思ってた。


眉毛が濃く、ちょっとしかめっ面の由宇さんだったが、非常に温厚な人で、いろいろ気を使ってくれたり、優しいことでみんなから慕われていた。


しかし、そんな由宇さんにも、実はみんなを悩ませるある癖があった。



酒乱だったのだ。


お酒を飲むと、いつもの温厚な由宇さんからは急変。


目つきが変わり、隣の人に頭からビールをかけ、物を投げ始め、テーブルをひっくり返す。

酒乱に変身するのだ。


俺も二人で飲みに行ったことがあるのだが、飲みが進むにしたがって叫びだし、最後には会計カウンターによじ登り、貼ってあった飯島直子のポスターを剥がそうとしていたのを止めてた俺が、そのままバックドロップしてしまい、それでもポスターを剥がそうとするので引きずりながら店を出たこともあった。


由宇さんはジューダスプリーストが好きだった。

スレイヤーやハードコアなメタルが大好きだった。


俺がやってたEASTWOMANのライブもたまに見に来てくれた。

その時も由宇さんはビールを飲み、暴れて、お客の女の子がドン引きするという状況が何度かあった。


俺は由宇さんと飲むのは好きだった。

話も面白かったし、何よりEASTWOMANのことを応援してくれていた。


そんな由宇さんがある日、店を休んだ。怪我をしたらしい。

翌日傷だらけになった由宇さんが出勤してきた。


酒を飲んで記憶をなくし、気がついたら血まみれで家のベッドに寝ていたそうだ。

全く記憶がないらしく、俺はとても心配になった。



いつかこの人死んでしまう。



数日後、由宇さんを車でハネたという人から連絡があった。

酒に酔っ払った由宇さんは自転車を全速力でこいでて、車に跳ねられたということだった。


ハネた人が言うには、驚いて由宇さんに駆け寄ったところ、血まみれの由宇さんはいきなり立ち上がり、ボロボロのなった自転車を勢いよくこいで走りっ去ていったというのだ。

その時落とした財布で連絡先がわかり、心配になって連絡してきたそうだ。




そのときから由宇さんの様子が少しおかしくなり、自暴自棄な感じになっていた。



ある日、二日酔いで出勤してきた由宇さんは、店でハードコアの曲を流そうとして、上司と喧嘩になり、そのまま店を辞めていった。


それから由宇さんには会ってないが、ジューダスプリーストを聴くと由宇さんのことを思い出すのだった・・・




元気でいてくれたなら良いな・・